法定調書合計表を出さないとどうなる?
法定調書合計表を出さないと違法行為として罰せられます。
ここでまず、法定調書とはどんなものか、その合計表である法定調書合計表とはどんなものか、提出しないと具体的にどのようなペナルティを与えられるのかについて解説しましょう。
最初に法定調書とは、税務署への提出が義務づけられている資料のことです。
所得税法や相続税法といった税に関する法律で提出が義務付けられている資料のことで非常に多くの種類があり、それらをひとまとめにして法定調書と呼んでいます。
この書類をもとにして税務署はお金の把握をするため、必ず提出が求められる資料といえるのです。
具体的にどのような資料なのかといえば、特に有名なのが給与所得の源泉徴収票といえるでしょう。
A社がBさんに100万円の報酬を払ったという事実があった場合、その事実を証明するための資料が支払調書になります。
さらにBさんが確定申告でA社から100万円の報酬を受け取ったことを確定申告することで、支払調書の100万円と確定申告の100万円が一致し、正確に申告がされたと証明できる仕組みなのです。
一方、法定調書には50万円としか書かれていないのにBさんの確定申告には100万円と申告していたとしたら、不一致が認められるのでA社かBさんが間違っていることを意味します。
そうなると税務署は、何らかの納税トラブルと判断し、税務調査を行ったり、事実を照会するための文書(お尋ねと言います。)を送付して調査をします。
ここでA社、Bさんのいずれかの脱税や申告ミスが発見され、場合によっては脱税を防ぐことも可能です。
次に法定調書合計表とは、今お話しした法定調書を集めて合算したもので、「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」を言います。
たとえば、社員に支払った給与の合計表であったり、借りている物件に支払った合計表であったりします。
つまり、先ほどの会社と個人のお金のやり取りが記載されて法定調書をまとめて分かりやすくした資料といえるでしょう。
これによって税務署は、その会社とそれぞれに支払った金額、それぞれが受け取った金額を照合することがで切るのです。
法定調書合計表は、税務署が企業のお金のやり取りをチェックするのに重要な資料といえるでしょう。
このようにお金のやり取りがわかる法定調書合計表を未提出のままにしてしまうと、冒頭で説明した通り罪に問われることもあります。
原則として支払いが確定した年の翌年1月31日までに所轄の税務署長(給与支払報告書・特別徴収票の提出先は、関係市区町村長)あてに提出しなかった場合、未提出となってしまうのです。
提出方法は、e-Tax、光ディスク等(CDやDVDなど)、書面、クラウド等の方法で、法定調書やその合計表が100枚を超える場合は書面以外の今紹介した方法で提出をするようにしましょう。
繰り返しになりますが、税務署にとってはお金のやり取りを把握するための大切な資料になるため、提出義務があるにも関わらず法定調書合計表をはじめとした法定調書を提出しないと1年以下の懲役又は50万円以下の罰金(所得税法第242条)が課せられます。
これは所得税に関する法律である所得税法第242条の5「第225条第1項(支払調書)に規定する調書、第226条第1項から第3項まで(源泉徴収票)に規定する源泉徴収票又は第227条から第228条の3まで(信託の計算書等)に規定する計算書若しくは調書をこれらの書類の提出期限までに税務署長に提出せず、又はこれらの書類に偽りの記載若しくは記録をして税務署長に提出した者」に該当するためです。
刑罰としては比較的重いものであり、年少者や女性を鉱山などで働かせるような強制労働を行った経営者と同じ重さになります。
こういった罰則を受けないためにも法定調書合計表の未提出を避け、自分たちの会社や事業所が出さなくていいケースなのかどうか再度後述する項目を見て確認していきましょう。
法定調書の種類とは?
法定調書の種類は、全部で60種類(令和2年4月現在)存在します。
それに応じて法定調書合計表も存在するといっても良いでしょう。
ここでは、そんな無数の法定調書のうち、主な種類として次の6つを紹介します。
1・給与所得の源泉徴収票
2・退職所得の源泉徴収票
3・報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書
4・不動産の使用料等の支払調書
5・不動産等の譲受けの対価の支払調書
6・不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書
給与所得の源泉徴収票は、従業員の給料や賞与を記載したものです。
この法定調書合計表となる給与所得の源泉徴収票合計表は、俸給、給与、賞与等の総額や人員、源泉徴収税額のない者(短時間のパート従業員など)、支払金額及び源泉徴収税額などの情報を記録します。
退職所得の源泉徴収票は、退職手当金等の支払を受ける全ての受給者に渡す法定調書です。
法定調書合計表には、退職手当等の総額について記載します。
未提出になることもあるので、注意しましょう。
報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書は、外部に依頼した場合の報酬額についてまとめた資料です。
よく例に出されるのが競馬で、関係者への報酬や所得税法第174条第10号に規定する内国法人に対する賞金(馬主が受ける競馬の賞金)などをまとめていきます。
不動産の使用料等の支払調書は、不動産の使用料についての調書になります。
不動産の使用料等の支払調書合計表は、不動産の使用料などの総額を記載することが求められます。
不動産等の譲受けの対価の支払調書は、支払の確定した不動産等の譲受けの対価を記録した法定調書です。
支払調書合計表では、譲受けの対価の総額を記載します。
最後の不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書は、不動産の売買や貸付のあっせんなどをした場合に作成します。
合計表は、支払の確定した不動産売買等のあっせん手数料の総額などを記載します。
以上のほか所得課税に関するもの、資産課税に関するもの、その他(国外送金等調書、国外証券移管等調書、国外財産調書、財産債務調書)に大別されて用途に応じて作成し、提出する必要があります。
法定調書の提出範囲・出さなくていい人とは?
未提出になったと思ったら出さなくていいケースだったという場合もあります。
法定調書の提出範囲や出さなくていい人について次のパターンをまとめました。
・給与所得の源泉徴収票
・退職所得の源泉徴収票
・報酬、料金の支払調書
まず、給与所得の源泉徴収票は「年末調整をした役員なら150万円超」「従業員なら500万円超」です。
ただし、税務署あてでなく市町村あての源泉徴収票である「給与支払報告書」はすべて提出が求められています。
退職所得の源泉徴収票は従業員に対して提出する必要はありません(役員に対しては必要)。
ただし、従業員には「退職所得の受給に関する申告書」を書いてもらう必要があります。
これは、従業員が退職金をもらったことで確定申告をしなければならないということを避けるためです。
報酬、料金の支払調書は依頼した外部のフリーランスや士業の専門家に報酬を支払った場合に作成しますが、これは税務署へは提出するものの、本人には渡す義務がありません。
以上のケースを把握して出さなくていい人や条件を知っておくことが重要です。
そうすることで未提出によるペナルティを回避することができるでしょう。

