法人化は大きな期待をもたらすことができるとともに、様々なメリットがあるとされています。しかし、実際に法人化をしてみると、意外にも後悔することがあるということもよく聞かれます。法人化を後悔する人にとっては、責任の増大や精神的負担、登記住所のトラブル、廃業の手間や費用、マイクロ法人を設立した後の事務作業や税務調査の可能性など、様々な問題があることが原因です。本記事では、法人化を後悔する人が感じる問題について詳しく解説していきます。
法人化の後悔:節税ができなかった
法人化を後悔する理由の1つに、思ったよりも節税効果が少なかったことがあります。節税を目的に法人化をする方が多いですが、法人化を進める前に計算をすることが重要です。所得税は個人事業主の累進課税であるため、利益に応じて課税されますが、法人税は条件に応じて一定の税率で課税されるため、利益が少ない場合には個人事業主の方が節税効果が大きくなる場合があります。また、法人化することでかかる経費もあるため、場合によっては損をすることもあります。法人化の節税効果は条件によって異なるため、事前にきっちり計算することが重要です。
法人化の後悔:必要経費が大きかった
法人化することで負担になりやすいのが従業員の社会保険料です。法人化すると、社会保険への加入が義務となります。社会保険料は法人と従業員で折半され、法人側は給与の15%を支払うことになります。特に人件費が多い場合や従業員が多い場合は、法人化することで必要経費が大幅に増えることがあります。また、法人化に伴い新たに従業員を雇わなければならない場合もあり、増員に伴って事務所を賃貸契約したりすると、経費はさらに増えます。法人化することで必要経費が多くなることがあるため、節税効果よりも損失の方が大きくなることがあります。
法人化の後悔:自由に使えるお金がない
法人化すると、財産が個人と法人で区別されるため、個人事業主時代のように自由に売上金を使うことができなくなります。法人として得られた売上は法人のものであり、個人的な用途で使うことはできません。法人のお金を使い込むと、税務上でのトラブルや横領扱いになる恐れがあります。会社のお金を使いたい場合は、役員報酬や賞与、退職金のような形で個人の収入にするか、役員貸付金という形で会社から借りることができますが、こちらは利息がかかり、返済が義務付けられます。法人化することで、自由にお金を使えないことがわずらわしい場合があり、法人化を後悔してしまうケースもあります。
法人化の後悔:手続きや事務作業が煩雑
法人化することで、手続きや事務作業が煩雑化することがあり、それが原因で後悔する人もいます。法人化すると、経理事務が煩雑化するだけでなく、法律の確認、社会保険の手続き、変更登記、株主総会、議事録作成などの作業が新たに生まれます。これらの作業を自分で行うと、想像以上の手間がかかることがあり、「本業にあてた方が効率的だった」と思われる場合もあります。しかし、従業員を雇うことでも、採用や従業員の管理などの手間はかかります。そのため、法人化した後の働き方をイメージしながら、法人化に対するメリットを検討することが重要です。
法人化の後悔:経営方針を自由に決められない
法人を設立する際に、複数人で共同で設立したり、出資者が別にいる場合には、経営方針を個人的に決めることができなくなることがあります。それは、法人は個人のものではなく、役員や出資者などの関係者として、みんなで運営するものだからです。複数人で共同設立した場合には、経営を進める中で、考え方がズレて対立することもあり、それが原因で法人を解散することもあります。また、出資者の意向によって、自分が望んでいない経営方針を採用することもあるかもしれません。こうしたことから、法人を設立する前には、自由度の高さや、信用や業務規模の拡大ができることといった利点をもたらすものの、自分が望んでいることにどれほど繋がるかをよく考えることが重要です。また、法人を設立することで手続きや事務作業が煩雑化することもあるため、それを踏まえて法人化することが最適かどうかを検討する必要があります。
法人化の後悔:役員を解任された
法人化すると、役員を解任される可能性があります。株主総会で解任されるには、50%以上の議決権を持つ株主が出席し、過半数以上の賛成が必要です。ただし、出資者が自分より多い場合や結託している場合は、取締役会や株主総会に出席していても解任される可能性があります。そのため、法人化する際には、内部での人間関係や仕組みをよく考え、問題を避けるようにすることが重要です。
法人化の後悔:責任が増して精神的に辛い
法人化することで、責任が増し、精神的負担を感じることがあります。そのような方は、法人化を視野に入れる前に、自分が会社経営に向いているかどうかを確認し、また、法人化しても人を雇用せずに事業を拡大することを選択することを検討することが良いでしょう。
法人化の後悔:本店所在地に関するトラブルが発生する
法人登記に必要な住所を提供できない場合、法人化することでトラブルを引き起こすことがあります。賃貸オーナーの許可がない場合、規約違反となり大家さんと揉めることになります。また、許可がもらえない場合は住所を移転することになり、費用がかかることもあります。借りている住所が法人登記が許可されているか確認し、トラブルを避けることが重要です。
法人化の後悔:赤字でも住民税の納税義務が発生する
法人化を検討している場合は、均等割による住民税の納税義務も視野に入れておくことが重要です。個人事業主の場合、赤字決算であれば所得税や住民税は納める必要がありませんが、法人の場合は、均等割によって課税されるため、最低限である一人法人であっても7万円程度の納税が必要となります。このため、節税のために小規模で法人化する場合は、法人税割よりも均等割による納税が少なくなるわけではありませんので、意外とネックになることもあります。法人化する前には、均等割による納税義務を理解しておくことが大切です。
法人化の後悔:廃業に時間や費用がかかる
法人の廃業を考えると、多くの手続きが必要になります。これらには、社員や顧客への告知、清算人の選出や登記、解散登記、解散確定申告、財産の換価、分配、処分、残余財産の分配、清算結了登記、清算確定申告が含まれます。これらの手続きには、約2か月以上の時間がかかり、登録免許税や官報公告費、司法書士の報酬を含めると、費用もかかります。個人事業主であれば、このような手続きが不要ですが、法人の場合は、廃業する苦労も大きくなってしまいます。
マイクロ法人を設立した場合の後悔
二刀流としてマイクロ法人を検討する場合、節税のメリットは設立費用や手続きの手間を考えると設立する前からわかることです。法人の給与所得と個人事業の事業所得を分けることで所得が分散され、税率を下げることができるでしょう。また、法人に所属することで健康保険や厚生年金に加入できるため、法人からの給料を低く設定すれば保険料を抑えることができます。しかし、マイクロ法人を設立することで事務作業や手続きの手間が増えるというデメリットもあります。また、保険料が減るということは将来の年金が減るということでもあります。さらに、税務調査が入った場合、マイクロ法人を設立していることでより厳しく調査される可能性もあります。マイクロ法人を設立することで得られる節税効果とデメリットをしっかり考慮することが重要です。
まとめ
法人化を後悔する人は、責任が増して精神的負担を感じること、法人登記の住所のトラブル、手続きが面倒で時間がかかる廃業の手順、税務調査による厳しい審査、マイクロ法人を設立していることで増加する事務作業や手続きの手間、将来の年金が減ること、などがあります。法人化を検討する際には、自分のケースで法人化をするメリットとデメリットをしっかりと比較しておくことが重要です。

