税理士試験の科目免除制度
税理士試験には、科目の免除制度があります。
ここでは、どのような人に対して免除され、科目はどんなものが免除になるのかについて解説していきましょう。
まず、科目免除となるのは大学院で税法や会計学を勉強あるいは研究している人などになります。そして、大学院の在籍や博士号、修士号の取得、さらには在籍していた時期によって条件が異なります。
特に大学院に在籍していた時期は重要で、平成14年3月31日以前に大学院に進学した人と平成14年4月1日以降に大学院に進学した人とでは、課目免除の条件が大きく異なります。
平成14年3月31日以前に大学院に進学した場合は、基本的に修士または博士の学位を有していることが条件で、次のような人です。
1・商学の修士または博士の学位を有している
2・法学または経済学のうち財政学の修士または博士を有している
平成14年4月1日以降に大学院に進学した人は条件が異なり、次のような条件に当てはまった人が科目免除になります。
1・会計系や税法系の修士論文で学位を得ていて税理士試験のそれぞれの科目に1科目以上合格している場合
2・会計系あるいは税法系の博士論文で学位を得ている場合
修士の学位の条件の場合は、前年に科目合格していないと科目免除制度を利用できませんが、博士の学位の条件の場合は受験初年度から科目免除制度が利用できます。
大学院進学の有無にかかわらず税理士試験の科目免除制度の対象となるケースもあります。
それは、次のようなケースです。
1・10年または15年以上、税務署に勤務した国税従事者
2・23年または28年以上税務署に勤務し、指定研修を修了した国税従事者
一言で言えば、税務関連の公務員として長年従事した人が免除になります。
ただ、公務員の従事の場合はまれなケースで、税理士試験の科目免除の話題になるのは、主に大学院進学のケースです。
科目免除について解説していきましょう。
基本的に対象になるのは税法免除や会計免除といった形です。
ここまで、科目免除の条件について解説したので、一覧にして紹介しましょう。
1・特定の科目のみ免除
・会計系免除(簿記論、財務諸表論):平成14年3月31日以前に大学院に進学して商学の修士または博士の学位を有している
・税法免除(選択必修及び選択科目):平成14年3月31日以前に大学院に進学して法学または経済学のうち財政学の修士または博士の学位
2・前年科目合格している場合に免除
・残る会計系免除:会計系の修士論文を執筆して学位
・残る税法免除:税法系の修士論文を執筆して学位
3・特定の科目すべてが免除
・会計系免除:会計系の博士論文を執筆して学位、23年または28年以上税務署に勤務し、指定研修を修了した国税従事者
・税法免除:税法系の博士論文を執筆して学位、10年または15年以上、税務署に勤務した国税従事者
このように科目の一部、前年科目合格条件で科目全て、科目全ての3パターンがあります。
ちなみに弁護士や公認会計士(一部研修が必要)は、資格を持っているだけで全科目免除になります。
公認会計士が税理士事務所を併設しているのも、税理士試験の科目免除制度を利用しているケースも少なくありません。
また、理論上の話になりますが、会計系の博士号と税法系の博士号の両方を持っている場合は、会計系免除と税法免除になります。
つまり、無試験で合格ですが、両系統の博士は時間的にもコスト的にも税理士試験免除に見合ったものとは言い難いものがあり、現実的ではなく、おすすめできません。
税理士試験の税法科目免除できる大学院
税理士試験の税法科目を免除できる大学院は次の研究科になります。
1・商学研究科・経営学研究科
2・経済学研究科
3・法学研究科
商学研究科・経営学研究科は、経営学や会計学の免除になることがほとんどですが、税法の指導教授がいる大学院であれば税法免除ができます。
ただし、会計学での学位が取得できない点に注意しましょう。
経済学研究科は、マクロ経済学やミクロ経済学、財政学といった研究がされています。
経済学を中心に先行した場合は、会計系の科目免除の対象となりますが、財政学を学んで租税論をテーマにした論文によって税法系の免除が可能になります。
ただし、商学研究科・経営学研究科同様、税法の指導教授がいるという条件になります。
法学研究科は、法律を中心に学ぶのですが、法律といっても様々なものがあります。
基本的に法の解釈や判例研究といった研究が行われますが、その中でも税法に関する論文を作って、税法に関する単位取得が求められます。
つまり、まったく税法と関係ない法学分野の履修をして、論文や単位取得をしても科目免除にならないため注意しましょう。
このように、大学院の科目だけを見て安易に選ぶのではなく、研究内容や履修内容を確認して大学院を選ぶことが重要です。
大学院で税理士の税法科目免除を受けるメリットとデメリット
最後に大学院で税理士試験の税法科目免除を受けるメリットとデメリットを紹介しましょう。
まず、メリットは次の2つです。
・他の科目に注力できる
・かえって早く税理士になれる
・税理士資格取得後のキャリアに活かせる
税法科目免除を受けることで他の科目に注力できます。
税理士試験は、ボーダーを超えれば合格というものではなく、上位成績者を基準に合否が決まります。
そのため、点数がある程度取れていたとしても、他の人も成績がよければ不合格になることもあるので、意外に合格しにくいのも事実です。
税法科目免除を受けるだけでも、そういった厳しい競争を一部回避できるため、メリットがあるのです。
税理士試験は、一年で全科目合格することはまれです。
多くの場合は、税理士事務所などに勤務しながら、毎年1教科ずつ合格を狙って勉強し、場合によっては5年以上かかることも珍しくありません。
しかし、修士課程をクリアして翌年税法科目免除を受け、会計科目で合格を取れば修士課程の年数を考えても4年目には税理士試験に合格できていることも十分ありえます。
早く税理士試験に合格すれば、より早く本格的な税理士の業務に携われるメリットも生まれてくるでしょう。
最後が大学院でのキャリアが税理士資格取得後のキャリアに活かせる場合があることです。
大学院に入ることで、表面的な合格のための知識ではなく、より深い税法の理解を深めることもできます。
これによって、税理士としての幅も広がり、キャリアに活かせる可能性があるのもメリットです。
基本的には、通常のルートより早く税理士試験に合格できる点が最大のメリットでおすすめのポイントでもありますが、それ以外に税理士としての税法の知識を深められる点もメリットといえるでしょう。
デメリットは次の点が挙げられます。
・時間やコストがかかる
・免除された分野が弱点になる場合がある
まず、大学院に進学するということは時間やコストがかかります。
時間は、修士論文や博士論文の執筆に労力を費やすことで、コストは大学院の授業料が挙げられます。
2年以上の時間を費やして、しかも国公立でも約150万円のコストが発生するので、ある程度の経済的な負担を覚悟しなければなりません。
ただ、この点に問題がなければ大学院進学もおすすめの方法といえるでしょう。
科目免除はメリットに感じますが、1つずつ全科目で合格していった受験者に比べると知識が薄い部分が出てきてしまうことは否めません。
こういった税法の分野での差が税理士になった後に出てきてしまうリスクもあります。
税理士試験の科目免除を考えれば、時間やコストは大きなものではないかもしれませんが、知識の差はある程度出てくることを知っておきましょう。

