ビール券や商品券などの譲渡は基本的に非課税
ビール券や商品券など、プリペイドカードのような金券の譲渡は基本的に消費税が付かない非課税になります。
ここではその理由と注意点について解説しましょう。
まず、なぜビール券や商品券に消費税がかからないのかといえば、かけてしまうと二重課税になってしまうからです。
譲渡の際に消費税を払うと、最終的に提供を受ける商品やサービスが同じ一つであるのに二重に消費税を払ってしまいます。
二重課税は、基本的に実施してはいけない課税方法であり、担税力を超える課税となり、課税の公平性を欠き、また競争意欲を削ぐ原因にもなることから、行政でも実施することは基本的にありません。
では、なぜ二重課税になってしまうのかというと、消費税を払う解釈としてビール券や商品券を使って、ビールや商品と引き換える際に初めて消費税を支払うという形になるからです。
あらかじめビール券や商品券を購入して譲渡する際に消費税が発生してしまったとしたら、ビール券や商品券の購入時に消費税がかかり、さらに交換時に消費税がかかるという二重課税が発生します。
こういった理由からビール券や商品券を物品やサービスと交換する前までは非課税になるのです。
ビール券や商品券の消費税について注意すべき点は、購入時の用途によって仕入れ税額控除の対象となるか、ならないかが変わることです。
簡単に言えば、用途によって消費税を払ったことになるのか、ならないのかが変わるのです。
その用途としては、贈答に使った場合、自社で使った場合が挙げられます。
他社や役員の報酬などの贈答として使った場合は、購入費用は仕入税額控除の対象とはなりません。
なぜなら、購入して他社や役員に渡したとしても、商品やサービスと交換して仕入税額控除の会計処理をしている可能性はほとんどないからです。
一方で、慰労会で使うビール券や商品券を購入して、それを会社で交換すれば、この時点で消費税を支払ったことになるので仕入税額控除の対象として処理できます。
このように持っているだけ、あるいはその後の使われ方が不明な場合は、仕入税額控除の対象とならず。
自社でビール券や商品券を使用して商品やサービスを受けることで初めて仕入税額控除の対象となることを知っておきましょう。
次の項目では、ビール券や商品券を贈った場合と貰った場合の仕訳の仕方や消費税の取り扱いについて解説していきます。
商品券やビール券などを贈る側の仕訳と消費税の取扱い
ビール券や商品券を贈る側の仕訳と消費税の取り扱いは、非課税仕入れの区分で、不課税取引になります。
ここでそれぞれについてどのようなものか解説していきましょう。
非課税仕入とは、ビール券や商品券を購入した場合に税金がかかっていない仕入れを指します。
ビール券や商品券の購入が非課税仕入れなのは、名目上ビール券や商品券を購入した時点で消費税を払っていないからです。
ちなみに非課税仕入れの例として、会社の保険料の支払いや借入金の利息の支払い、国債や株券などの有価証券等の取得、郵便切手類の取得、印紙の売渡し場所における印紙の譲渡および地方公共団体などが行う証紙の取得といったものが挙げられます。
これらの例からもビール券や商品券の購入(仕入れ)は非課税仕入れのイメージしやすいのではないでしょうか。
不課税取引とは、消費税が課税される要件を満たしていない取引を言います。
日本ではない国外での取引などがこれに当たる場合が多い取引です。
特徴としては、事業者における消費税の納税額を計算するために必要な割合である課税売上割合に含まれない取引という点です。
この課税売上割合は、売上全体のうち、消費税が課税される売上高の割合なので、消費税が課税されない取引と言えます。
ちなみに課税売上割合は次の計算式で表され、ここに不課税取引は含まれません。
課税売上割合=(課税売上高+免税売上高)/(課税売上高+非課税売上高+免税売上高)
このようにビール券や商品券を贈る行為は、消費税が課税されていない仕入れをして、それを贈っても消費税の課税対象にはならないということです。
さらに仕訳としては、接待交際費として現金で計上してしまうという処理も可能になります。
厳密には貯蔵品を現金で購入し、その貯蔵院で接待交際費としたという仕訳方をします。
ただ、先ほどのように消費税の課税対象ではないので接待交際費を直接計上することも可能です。
ちなみにビール券や商品券の仕入れ時に課税仕入れとする特例処理をして消費税を払ったことにするといった会計処理を試みるケースもあるかもしれません。
しかし、ビール券や商品券を自社内で消費する場合は適用されるものの、贈答として購入した場合は、この特例が使えないので注意しましょう。
商品券やビール券などを貰った側の仕訳と消費税の取扱い
ビール券や商品券を貰った場合も会計処理が必要です。
こちらは商品券の額面に相当する金額での不課税取引になります。
つまり、貰っただけであれば消費税の対象になりません。
具体的な会計処理として、ビール券や商品券の額面で「受贈益」や「雑収入」などの収益として処理します。
仕訳として、最初に「貯蔵品」などの勘定科目で先ほどの「受贈益」や「雑収入」として処理します。
しかし、注意点として受け取ったビール券や商品券を使った場合は、課税仕入れとして処理します。
使用時に「消耗品費」といった勘定科目に振り替えて、商品の内容の適用税率で課税仕入れとして処理する形です。
たとえば、ビール券であれば8%の税率の課税仕入れで「貯蔵品」から支出する処理をします。
また、商品券で備品などを購入した場合は10%の税率の課税仕入れで「貯蔵品」から支出する処理をしましょう。
持っているだけであれば、非課税取引になりますが、いざビール券や商品券を使用して取引をし、会社で商品やサービスを購入した場合は課税仕入れとして処理しなければなりません。
少額なことが多いため、つい貰ってそのまま処理せず不明瞭な使用で消費してしまうと、会計の透明性が損なわれることや場合によっては税逃れの疑いがかけられてしまうリスクもあります。
そのため、少額であっても貰った場合はきちんと会計処理をするようにしましょう。
そうすることで、より詳細な経営分析が可能となるはずです。
自社の役員に商品券やビール券を贈ったら
小さな企業の場合、ビール券や商品券のような現物で役員に贈答することがあります。
この場合は、これまで解説してきた方法と異なり、非課税仕入れで非課税売り上げ、そして役員報酬という形で処理します。
最終的にビール券や商品券を使用して現物と交換していないので、消費税の計算対象にはなりません。
まず、ビール券や商品券を購入した時点では、先ほどの贈る場合と同様に非課税仕入れとして処理し、貯蔵品とします。
次に役員へ渡した際にビール券や商品券の額面額を非課税売上げとして処理します。
貯蔵品(ビール券や商品券)を「役員報酬」として額面分計算するのです。
ただ、注意点として、ビール券や商品券を役員が報酬として受け取った時点で、額面が源泉徴収の対象になります。
つまり、役員の給与所得として課税対象になるのです。
消費税としては最後まで課税や計算の対象にはならないものの役員の所得税や住民税などの源泉徴収の形として課税対象になることを知っておきましょう。

